自分がある程度滑ることができれば子供にも教えることができますが、子供を伸ばすには、同じことを教えるにもそのやり方が重要となってきます。
ここでは、教えたいスキー技術そのものではなく、教え方に焦点を当てて考えていきます。
こんなことありませんか
以前スキー場で、小学3・4年生くらいの子供連れの親子をリフト上から見かけたのですが、子供は雪に寝そべって起き上がる気配がない中、両親がその傍らで代わる代わる声を荒げて怒鳴っていました。
何か特別な事情があったのかもしれませんが、少なくとも自宅を立つまでは、親子でスキーを楽しもうという気持ちでいたのではないでしょうか。それが一面銀世界の穏やかな山の麓でわめきちらすことになろうとはと思うと、何だか残念な気持ちになりました。
一緒に滑っている子供の脇で親とおぼしき大人が大声を出しているのを見るのは、残念ながらそう珍しいことではありません。
「そうじゃないって言ってるでしょ!」なんて声に驚いて振り向くと、若いお母さんだったりもします。
せっかく自分もできるのだから子供に伝えたい、早く上手になってほしい、その気持ちはよく分かります。ですが、そのための方法について、もっとよく考えるべきではないでしょうか。
子供に教える目的
そもそも、子供にスキーを教える目的とは何でしょうか。子供の体を鍛えるため、親子で自然とのふれあいを楽しむため、あるいは子供をスキーのチャンピオンにするためなど、様々あると思います。
何かを始めるからには、子供が持っているその分野の能力を最大限に引き出してあげたいと思うのが親心ですが、子供に怒る親の態度は、早くうまくなってほしい一心から出てきているように思えます。そこには焦りに似たものがあるとも言えます。
しかし、能力を引き出してあげることを目的とするならば、一番大切なのはエリート教育でもスパルタ教育でもなく、まずスキーを好きになってもらうことです。
まずは好きになってもらうことが第一で、その気持ちがあればその先取り組んでいく上で辛いことも厳しい練習も乗り越えられるようになるのです。
こだわりを捨てる
焦るような気持ちは、親のこだわりから来ています。こうしなければいけない、こうであるべきだ、という観念に囚われてしまっているのです。
「『ねばならぬ』は心の不養生」という言葉があります。何事につけても、「〇〇しなければならない」というこだわりは心の平穏を乱す元なのです。逆に「〇〇できなくても良い」と考えることができれば、心穏やかに過ごすことができます。
右ターンのときにばかり転んでも良いのです。ふざけて寝転がって雪遊びして滑ろうとしなくても良いのです。まずは雪に親しみ、雪を楽しみ、スキーを好きになってもらいましょう。うまくできたときは大いに褒めましょう。うまくいかないときもナイスチャレンジと励ましてあげましょう。
せっかく子供と触れ合える時間なのです。今しか過ごせない大事な時間を、お互い大いに楽しむべきです。
物事がうまくいったとかいかないとかは、あくまで結果です。結果は点の世界です。それに対して、物事を進めていく過程は線です。
最終的な点(結果)が一体どこになるのかを気にするよりも、長く続く線(過程)を楽しむことに重点を置くべきではないでしょうか。
まとめ
- 子供にスキーを教える目的が子供の能力アップならば、まずスキーを好きになってもらいましょう
- 親のこだわりは捨てましょう。「〇〇しなければ」から「〇〇しなくても良い」への転換
- 結果にこだわるよりも、過程を楽しむことに意義があります
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