【スキーストックの使い方】ストックなんてもういらない!?ノーストックスキーのススメ

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 スキーにはストックが付き物です。ターンのために必要とされているストックですが、ここでは、普段何気なく使っている感じすらあるストックについて、「ストックは本当に必要なのか」というところから、その役割について見直していきます。

何気なく使っていませんか

 野球ボールを捕るならグローブをはめるように、ピンポン球を打つなら卓球ラケットを握るように、スキーをするなら両手にストックをはめなければならない、なんて思っていませんか。

 スキーにストックを使う技術は、1880年代以降に確立したとされており、それ以前はストックを使わないスタイルが主流だったとも考えられています。

 人には両手両足があるんだから、それぞれ役割を持たせようと、足の他に手も使うようになったのかもしれませんが、ストックを使う技法にしても2種類あり、日本に初めて伝わった西洋スキーでは一本のストックを使うリリエンフェルト・スキー技法というものだったとされています。そして二本のストックを使う現在の主流は、もう一つの技法であるアールベルグ・スキー技法というわけです。

ストックを持つ意義・そもそも必要なのか

 子供や初心者を教えるとき、「ストックは邪魔になるから置いといて」などと言って教え始めることがあります。初心者ですら必要ないものを使う理由があるのかと思ってしまいそうです。

 では、ストックは何のために使うのでしょうか。理由は大きく以下の3つに絞られると思います。

  • 理由1:ターンを切り替えるきっかけづくり
  • 理由2:バランスをとるため
  • 理由3:斜度が緩くて進めないような状況でも、漕いで滑ることができる

ターンを切り替えるきっかけづくり

 荷重の強弱だけで曲がれたプルークボーゲンと違い、パラレルターンでは切り替えの際に重心をブーツよりも前方に移動させる必要があります。この切り替えの時にストックを突くとスムーズに重心移動ができるので、きっかけづくりにストックが役立つというわけです。

 しかし、ストックがなければターンできないわけではなく、重心移動をストックに頼らずにすれば、大回りでも小回りでも自在にできるようになります。

 そこで、ストックをあえて使わずに滑ることで、ターンの切り替えに必要な重心移動の要素を意識しやすくなります。

バランスをとるため

 ターンの切り替えに重心の移動が必要になるということは、切り替えでバランスを崩しやすくなるということができます。

 筆者自身、コブをストックなしで滑りを変えずにできるかと言われれば、自信がありません。やはりバランスをとるためにはストックが大事ということになります。

 しかし逆に考えてみれば、ストックに頼って滑りを維持しているということは、まだまだ技術的に向上の余地があるとも言え、ノーストックで滑ることでバランス感覚を向上させることができることになります。

斜度が緩くて進めないような状況でも、漕いで滑ることができる

 スノーボーダーと違い、連絡コースのような平地でも板を脱がずに滑ることができるのはメリットに感じます。

 すると、逆にスノーボードではなぜストックを使わないのだろうという疑問も生まれてしまいます。スケートボードから発展したからと言えば元も子もないかもしれませんが、蹴って進むことができない以上、スキーのようにストックを持つスタイルが定着しても良いようにも思えます。

 スノーボードの普及は若者を中心としており、ガチガチに固められた旧来のスキーに対し、何物にもとらわれず、思いのままに雪山を遊ぶ自由さの象徴であったと思います。そんな自由さから手もフリーにした・・のかどうかは定かでありません。

 ちなみに、スキーに類似したスケートやインラインスケートでもストックは使いません。足を蹴り出して推進力を得ることができるからだと思われます。というわけで、スキーでも同様にスケーティングで進むことができるので、ノーストックで平地や緩斜面コースを突き進むこともできます。これはエッジの使い方、乗り込んだ足へのバランス、そして何より体力強化につながりそうです。

ノーストック練習のススメ

 ストックの必要性を理解した上で、技術向上のためノーストックで滑ってみましょう。

整地で大回り

 まずは整地での大回りです。ターンの切り替え時、沈みこませた上体を起こすと同時にストックを突いて体重移動していたはずですが、ここでストックに頼ることができないため、他の方法を使います。

 上体を起こしたならば、その上体を斜面真下・フォールラインに倒れこませるのです。体を投げ出すイメージでも構いません。慣れないうちは頭だけが突っ込んでしまい、切り替え動作につながらないかもしれません。

 上半身を倒れこませると書いたのですが、正しくは、股関節の付け根付近にある重心をスキーよりもフォールライン側に出してやる必要があるということです。これができていれば、ストックがなくても容易にターンを切り替えることができます。

整地で小回り

 大回りができるようになったら、続いて小回りです。

 基本的には大回りと同様、切り替えで重心がフォールラインに来る必要があるのですが、大回りのときほど悠長に重心を移動させるいとまはありません。

 そこで、切り替えのときにブーツを後方へ引くイメージで滑ります。こうすることで、相対的に重心が前方へ移動するため、次のターンにつながるのです。

 また、基本的に小回りのときは上体がフォールラインを向いた状態をキープします。このため、上半身と下半身でしっかりねじれを作ることが必要となります。ストックがない場合、ねじれが弱まることにつながりやすいため、右ターンの時は右手を、左ターンのときは左手を前方に突き出すようにすると、うまくねじれを保つことができます

コブを滑る

 整地で十分滑れるようになったら、仕上げはコブ斜面です。これはエキスパートでも難易度が高いので、緩い斜面や数コブでコースが終わるあたりからチャレンジしましょう。

 コブだとどうしても腰が引けてしまい、フォールライン方向に重心を移動させるのはかなり勇気が必要です。ただ、重心移動がうまくできなくても、上体が前後にあおられやすい中でいかにバランスを保つかというトレーニングとして、コブは有効といえます。

おわりに

 ストックの必要性と、ノーストック滑走についてお伝えしました。

 ストックに限らず、ないよりはあった方がマシとばかりに道具を漫然と使うのではなく、必要な理由を掘り下げて理解することがスキーの上達を助けると思います。

 また、ノーストックで滑ることも当然ながら上達につながりますので、滑りのバリエーションに是非加えてみてください。

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