スキーの3Dエアと軸ずれスピンを解説!コーク720練習方法やコツも

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 コークスクリューやミスティなどの軸をずらしたスピンは、初めて見た人にとっては縦にも横にも回っているように見え「一体どうなってるの!?」と驚きの対象かと思いますが、飛ぶことが好きでスピンもフリップも怖がらずにできるようなレベルの方にとっては、チャレンジしてみたいトリックだと思います。

 ここでは、そんな3D系トリックと軸ずれスピンについて解説し、3Dの代表格とも言えるコークスクリュー720の練習方法とコツについてお伝えます。

軸ずれスピンとは

 フリーライドスキーなどの飛びでは、スピンは体の軸を鉛直方向に保ちながら、ねじを回すように水平に回転することを指します。回転数に応じて360スリーシックスティから1440フォーティーンフォーティまであり、スイッチ着地でプラス180といったバリエーションが加わります。

 このスピンで、体の軸を傾けたものが軸ずれスピンということになります。モーグルでは3Dエアとも呼ばれます。様々な方法で軸を任意に傾けるわけですが、着地までに軸が元に戻ってきます。物理的な原理の話は抜きにしますが、水を少量入れた空のペットボトルを斜めに回転させて、倒れそうでも倒れず直立に戻ってくるのに似ています。

3Dトリックの種類

 軸を傾ける方向によって何種類かあります。同じトリックでもスピン要素が強かったり縦回転の要素が強かったりすると違うトリックのように見えることもあります。

 3Dトリックについて、主なものを以下に挙げます。

ミスティ

 進行方向に対し体軸が横向きになったスピンです。動きのイメージとしては、柔道の背負い投げからの前回り受け身に近い形です。3Dエア黎明期はロデオとツートップ的なトリックでした。

 縦の動きとしては、スキー+ブーツで重量物となった下半身を、先行する上体が引っ張ることになります。踏み切りで頭と腕とを斜め前方に振り込んで、下半身がついてくるのを待ちます。

 種類はスイッチランディングのミスティ540と、プラス180度回ったミスティ720の2種類と言ってよいと思います。

ロデオ

 バックフリップに近い形で体軸を傾ける、縦回転要素の強いトリックです。かつてはミスティと2大巨頭といった感がありました。

 ミスティではスキーを持ち上げるために上体を一旦固定し続けなければなりませんが、ロデオでは後方へ倒れ込む力を使うことができる分、回転力を得るのは比較的容易と言えます。

 540を多く見かけ、720のほかにロデオ360というのもあるようですが、360で軸ずれスピンというのはロデオに限らず少々無理があるように筆者は思います。

コークスクリュー

 今や3Dエアの代名詞とも言える存在でスピン要素が強く、コーク1440などという信じられないようなトリックがモーグル競技でも出るようになりました。

 進行方向の反対側に体軸を傾けて回るトリックで、コルクを抜くように前方に回転していくことから名づけられたと言われています。

 3Dにチャレンジしたい人がまず目指すのは、やはりこのトリックではないでしょうか。練習方法については記事後半にまとめています。

Dスピン

 コークスクリューの軸をより倒して回るトリックで、頭が下向きになります。タックして行うフルツイスト(後方一回転一回捻り)のようなものと考えられ、バックフリップしながらスリーシックスティするイメージです。

 一時期モーグル競技のエアとしてコークスクリューと人気を二分していた感がありましたが、今ではあまり見かけなくなりました。

コーク720実践編

 ここまで、3Dエア・軸ずれスピンについての解説を行いました。続いて代表的な3Dエアであるコークスクリュー720(以下「コーク7」)の練習方法とコツについてご紹介します。

 くれぐれも、安全に十分配慮して自己責任の範囲で練習してください。

最初に確認したいこと

 キッカー初心者でコーク7にチャレンジしたいという方はさすがにいないと思いますが、いくらやる気にはやっても、360すら自信をもって回れない人にコーク7は到底無理というものです。

 コーク7はご承知の通り軸を傾けたスピンですので、最低限360度スピンできることが前提です。できれば540や720など、360度以上回せる回転力があれば安心でしょう。

 トリックのイメージは人によってさまざまあるため、コーク7にバックフリップの要素があるという方もいますが、できなくてもとりわけ支障はないと思われます。まずはしっかりスピンできることを確認した上で次のステップに進んでください。

まずはトランポリン

 安全で、短時間に効率よく何度も飛べるトランポリンでコークの動きを身につけましょう。

 まずは部分的な練習として360+背落ちにチャレンジしましょう。踏み切り後、後方に向かってうつ伏せで寝転ぶように体を捻ったところから、さらにもう半回転して背中から着地します。

 背落ちに慣れてきたら、今度は背落ちして跳ね返った反動を使ってさらに回転して立ちます。

 ここまできたら、いよいよ通しでかけてみます。背落ちの時は体軸を真横まで倒しましたが、実際はそこまで傾ける必要はないので、軸が立っていないと感じられる範囲で体軸の傾きをいろいろ試してみるとよいでしょう。

ウォータージャンプでチャレンジ

 トランポリンでイメージが固まったら、次はウォータージャンプでの実践に移します。

 トランポリンとの最大の違いは、足に重いブーツとスキーを履いていることで、上体で作った回転力をしっかり足元まで伝えられるかがポイントです。トランポリンのように簡単には重量物である下半身がついてこないので、スキーの抵抗に負けないよう力強く回す意識が必要です。

 軸の傾きは、鉛直方向に対する真横まで倒す必要はなく、台のアールに対して垂直にするぐらいの感覚で良いように思います。トランポリンでは鉛直方向の踏み切りから90度軸を倒すことになりますが、ウォータージャンプなどで台のアールを基準に90度軸を倒してしまうと、軸が倒れすぎて頭が下になり、Dスピンに近いトリックになってしまうためです。

 踏み切り時の回転のかけ方ですが、軸の角度を台のアールに対して垂直とすれば、先行する側の肩を下げて肩のラインが傾くようにして回ります。やり方は人それぞれですが、ビンディングのヒールピースを手で払うイメージが筆者にはしっくりきています。

 スキーがヘリコプターのように回る360や720と違い、プロペラ機のようにスキーを回すコークスクリューでは、リップを飛び出した後にうまくスキーを回せないと感じるかもしれません。

 そんな時は、タックするように脚を引き付け、軸を短くしながら回転力を作り出すようにするとスキーが回りやすくなります。

 スキーが回り出せば、あとは軸が戻るのを待てばよく、スピンが反時計回りの方は斜め左上から着地点がやって来るのを、目線を先行させて追いましょう。

雪上でトライ

 ウォータージャンプで自信を持ってメイクできるのであれば、いよいよ雪上デビューです。ただ、ウォータージャンプ練習から雪上トライまでに日が経っている場合が多いと思われるので、できれば新雪が積もったシチュエーションで試し飛びをしたいところです。

 あとは、ヘルメットを始めとした安全装備をしっかりし、トライするアイテムのサイズや進入速度に関わる雪面のコンディション、着地ポイントなどを十分に吟味・確認して練習の成果を発揮しましょう。

 少しでも不安があるときは、やるべきでないときです。簡単に大ケガできるのがキッカーというもの、撤退するのもまた勇気ということです。

まとめ

  •  最低でも540°回れる程度の回転力をつけましょう
  •  焦らずに順序立てた練習が肝心です
  •  スキーを履くと回転を妨げられます。タックする力を回転力に変えましょう
  •  くれぐれも安全にはご注意を
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