ウルトラマンばりに真横になり、「危ない」と思う間もなく前方へ1回転。フロントフリップは男らしさ溢れるトリックですが、あまり見かけなくなった今こそ、目立つにはもってこいのトリックかもしれません。ここでは、フロントフリップにチャレンジしたい方向けに完成までのステップとコツをお伝えします。
フロントフリップについて
フロントフリップはモーグル競技でインバート系エアが解禁となった後、長野オリンピック金メダリストの里谷多英選手がワールドカップで使用するなど、しばらくの間は見ることができましたが、今ではなかなか見かけることはありません。理由はエアの前後に滑りを伴うことのデメリットと言えます。
バックフリップであれば後傾姿勢からでも踏み切りができ、着地ではうまく前傾姿勢に戻すことができるため滑りのつなぎとしてもってこいなのですが、フロントフリップは正反対で、踏み切りのために前傾しなければならない上に着地は後傾になりがち、しかも着地が視認しにくいため、モーグルエアとしては難易度が高く、敬遠されがちなのです。
しかし、着地後の滑りを考慮する必要のないパークでの飛びならチャレンジする価値もあるのではないでしょうか。ただし、怪我だけはしないように注意深くステップを踏み、自己責任の範囲で取り組んでください。
雪上トライまでのステップ
トランポリン
飛びのイメージ作りに最適なのは、やはりトランポリンです。雪上やウォータージャンプと違い、短時間で何度でも繰り返しチャレンジできるので非常に効率が良いです。
バックフリップと違い3/4回転できれば背落ちになるので、比較的気楽にチャレンジできると思います。最初から背落ちするように飛んでみてもよいでしょう。
前転の感覚に慣れてきたら、一回転して立つことを目指します。フロントフリップの場合、回転はタックして行うのが一般的(と思う)ですので、ここでは全てタックを組んで回転する前提で書きます。
ジャンプして前転する際、回る目標を最高到達点の前方に置きます。つまり踏み切るときには斜め前方めがけて回るイメージです。これもバックフリップ同様、回転の中心を胸にもってくれば高さを出して回ることができます。
ウォータージャンプ/エアバック
トランポリンで自信をもって飛べるのであれば、次はウォータージャンプです。
基本的に台の踏み切りは鉛直方向なのですが、フロントフリップの場合は前方に踏み切ります。上体を思い切って前方に投げ出し、ウルトラマンが台から飛び出していくようなイメージですが、飛ぶ前に板を履いたまま何度も斜め前方にジャンプして、感覚をつかんでおきましょう。
踏み切りで首尾よく前方に飛び出せたら、タイミングを見計らってタックを組み、回転します。タックしようと縮こまる際の力加減が、回転力の強さにつながります。また、踏み切り後に両手を前方に突き出してみたり、一瞬のけぞってみたり試せるのもウォータージャンプの良さです。
フロントフリップのデメリットの一つが着地の見にくさですが、頭が真下を通過した頃にタックを解いて足を伸ばしていけば、板やブーツで重い足元が下に引っ張られて着地しやすくなります。人によってはわきの下から景色を確認するようです。
完璧に板から着水・着地できるようになったら実戦投入です。
雪上でチャレンジ
これもバックフリップ同様、初がけはバフバフのパウダーの日に、が理想です。ウォータージャンプなどの感覚とずれるところは特にないはずなので、これまで積み重ねてきたことを信じて、思い切ってみることです。
まとめ
- トランポリンでは斜め前方に向かって前転するイメージ
- スキーを履いたときは、ブーツのタンを押すほど前方に踏み切る
- 自己責任の範囲で、慎重なステップアップを心がけましょう
最近のコメント