スキーを始めたばかりの時ばかりでなく、パラレルができるようになったレベルやさらに上のレベルでも、急斜面やコブに入ったときに転倒することは多いと思います。
ここでは、スキー操作に不慣れだったりバランスの取り方がうまくなかったりする方向けに、転倒する理由と対策について考えてみます。
どんな状況で転ぶのか
急斜面
初心者・初級者なら中級コース以上、板が揃えられるようになったレベルであれば上級コースといったように、レベルに見合わない斜度を滑ると腰が引けてしまって思うように滑れなくなります。
斜度の変わり目
初心者に多いケースですが、緩い斜度から急に落ち込む、あるいは急だったはずの斜面から緩斜面に切り替わるポイントでバランスを崩してしまいます。
緩い斜度が急にきつい角度に変化した場合、板が先走ることで後傾姿勢になってしまい、転倒につながります。また、逆に急斜面から緩斜面に切り替わったときも、変化についていけないと板だけ先走ってしまいます。
コブ斜面
整地では上級コースまで滑れるスキーヤーでも、コブ斜面では簡単に体をあおられて3コブで打ち上げられてしまったりします。
ターンの途中
初心者かパラレルができるようになってきたレベルに特に多いのは、ターン途中、さらにいえば足を切り替えた直後のターン前半に、ターンの内側に転ぶというものです。
どの方向に転ぶのか
次に転ぶ方向ですが、一番多いのは後方、次いで左右というところではないでしょうか。左右に関しては、ターンの外側よりも内側に転ぶケースが圧倒的です。
なかなか前には転びませんが、この記事を読んでいる方が前に転ぶのであれば板が短いかプルークの形に問題がある可能性があるので、もっと長いスキーを履くか、スキーの先端をくっつける「スキーヘルパー」の使用をおすすめします。
転ぶ理由
転ぶ状況と方向を見てきましたが、それぞれ理由を考えてみます。
まず後ろに転ぶ場合ですが、スキーの上に乗っていなければならない上半身(正確には重心)が後ろに遅れてしまうためにおきます。
どうして重心が遅れるかというと、①急斜面では恐怖心からどうしても腰がひけるから、②斜度の変わり目でスキーが先に走っていくから、③ひとコブごとに目まぐるしく斜度が変化するコブ斜面に上体があおられるから、といったところです。
次に、横に転ぶ場合。
ターンしているときは、遠心力の分だけターン外側の足からターンの内側方向に重心をずらすことができるのですが、まだ内足の外エッジをうまく使えないレベルで外足と同じように荷重しようとすると、内足が支えきれずにバランスを崩してしまうのです。これがターンの内側に倒れる理由です。
転ばないためには
まず後ろに転ばない対策ですが、重心がスキー板から遅れることで起きるので、「重心を遅らせない」ということに尽きます。
では具体的に何を意識するかというと、ブーツ前面のタンをスネで押している感覚を持ち続けることです。重心が遅れている状況では、必ずスネがブーツのタンから離れてしまっています。これをくっつけておくというわけです。ブーツを履いて歩くとき、階段の上り下りでも感覚を磨くことができますので是非ためしてください。
あとは、急斜面・コブ斜面であればコース幅いっぱいを使って可能な限り斜度の緩い横方向に逃げながら端で向きを変える方法でしのぎます。斜度の切り替わりは、そこで一旦止まるようにすれば問題ありませんが、そのためには目線を上げる必要があります。上達の速度にも影響しますので、目線は是非上げましょう。
次に横対策です。先ほど書いた通り、外側のエッジを使えるようになる必要がありますが、パラレルターンを覚えたての頃であれば、ターン内側の足に頼らないで外足一本で滑るぐらいの意識がよいでしょう。
内足も使えればバランスは格段に向上するので、次のステップに進みたいのであれば、斜面で横を向いた状態から、板を平らにして横滑り(デラパージュ)していく中で感覚を磨きます。
また、緩斜面で滑りながらターン内足の外エッジへの荷重を慣れていくごとに強めていき、最終的には内足だけでターンできるようにしていく流れで感覚が向上します。
おわりに
いかがだったでしょうか。転ぶ理由と対策を知れば、スムーズな上達に役立ちます。加えて、バランスを崩したとき、簡単に「もうだめだ」と諦めてしまうのと、「転ぶもんか」と粘るのとでは技術習得の早さにも差が出てくるように思います。
ちなみに筆者は、コブで前に転ぶぐらいの度胸を持つことを目標にしています!
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