スキーでパラレルターンができない理由と対策・練習方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 脱初級を目指してスキーに励む方もいらっしゃると思いますが、初級と中級を分かつものはやはりパラレルターンができるか否かではないでしょうか。

 ここでは、プルークボーゲンは卒業してパラレルターンをしているつもりなんだけど、どうしても足を揃えきれない、という方のために原因やその対策をお伝えします。

なぜパラレルターンにならないのか

 プルークボーゲンでどこでも滑れるようになれば、今度は足を揃えてパラレルターンに進むのが自然な流れです。

 ところが、緩斜面で直滑降なら完璧にパラレルなのに、ターンし始めた途端に感覚がずれる、ということはないでしょうか。この、ターン時にスキーを平行にしきれないということこそが中級レベルになるための壁なのです。

 どうしてスキーを平行にしきれないのか。それは、ターン内側の足が問題となるのです。

 例えば右ターン(右側へ向かおうとするターン)では、左足がターンの外側になり、この足に荷重して曲がろうとします。

 ところが、ターンし始めたところで、右に曲がろうとする左足と、右には曲がり切れない右足とがぶつかろうとしてしまいます。これを避けるために右足をヨイショと持ち上げて右の方に向けて下ろすことになります。

 別な例で見ていきます。下図は、パラレルターンとプルークボーゲンでそれぞれ右ターンしていった時の板の動きです。図の下から上へ滑っていくイメージです。

図1 パラレルターン(左)/プルークボーゲン(右)で右ターンした時の板の動き

 パラレルターンで滑るということは、黒の実線上を左右のスキーが並んで通る、あるいは接線の向きに滑っていくということになります。それに対してプルークボーゲンの場合は、パラレルターンよりも左右のスキートップが内側を向きます。

 ここで左スキーに着目すると、プルークボーゲンの場合、ターン開始時にすでにスキーの向きがパラレルターンのターン中盤に近い形になっています。同様に、プルークボーゲンでターン中盤になる頃には、左スキーの向きはパラレルターンのターン完了に近い形になっています。

 つまり、プルークボーゲンで滑るということは、外足(ここでは左スキー)が先行してターン動作を行っていくため、パラレルターンに比べ容易にターン完了させやすいと言えます。

 プルークボーゲンを卒業して板を揃えようとし始めると、ターンしやすいプルークの外足を使い、内足(ここでは右スキー)をヨイショと持ち上げてターン終盤の向きに変えて下ろしていくことになります。

 という訳で、パラレルターンできない主な理由は以下の2つです。

①ターン内側の足がターンの邪魔になるため。(=向きを変えるにはスキーを持ち上げなければならない)
②プルークボーゲンではターン導入時にはすでに外足が先行してターン動作していたものの、パラレルターンでは自力でターン始動しなければならないため。

パラレルターンにするための対策

 ではどうすれば内足を持ち上げずに済むのかというと、ターン内側の足も曲がれるようにしつければ良いということになります。右にターンするのであれば、ターン内足となる右足も問題なく曲がれるようにする必要があるということです。

 具体的には、ターン外側の足の外エッジを使えるようにします。右ターンでは主に左足の内エッジに頼って曲がっていたものを、右足の外エッジも使って曲がれるようになるということです。今まで使ってこなかった外側のエッジを、これからは積極的に使っていくことになります。

 次のセクションから、その練習方法を見ていきましょう。

ターン内足を鍛えるための練習方法

横滑り

 まずは、外側のエッジを使って横滑りするところから始めましょう。

 右足の練習であれば右足を山側にした状態で、右足一本で立ちます。その状態から真下に向かって斜面をずり落ちていくのです。

図2 右スキーのエッジを緩めていくと・・

 停止した状態ではエッジが雪面に噛んでいますが、エッジを緩めていくと下にズルズルと滑り落ちていきます。これを、できるだけ長い距離まっすぐに右足だけで滑るようにします。板が左右にブレたり、前後に動いたりしないよう注意してください。バランス良く反対側もやってみましょう。

斜滑降

 今度は、外エッジを使って斜滑降しましょう。

 右足から始めるのであれば、右足が山側になるようにゲレンデの端に立ち、反対側の端まで横断します。右足一本で滑り切ることを目標にしましょう。

 スピードを出す必要は全くなく、エッジの立ち具合だけを気にして滑りましょう。あらかじめ目標とする位置を決めておいて、そこに向かって滑るようにするとエッジの強弱を調整しようとする意識ができて効果的です。これもゲレンデを往復しながら左右行います。

 ここまでできれば、ターン内側のスキーがグッと動かしやすくなります。そうすると内スキーを持ち上げて向きを変えてやる動作が不要になり、外スキーに連動して内スキーの向きを変えることができるようになってきます。

片足ターン

 これでひとまず①の問題は解消するのですが、②のターン始動の問題が残ります。ターン始動をスムーズにするには外足の片足ターンを、内スキーの使い方の大幅レベルアップには内足の片足ターンがおすすめです。

 外足の片足ターンは、内エッジを使って行います。今までプルークボーゲンでできていたことなので、難しくないでしょう。ターン中にバランスが崩れないようにしっかり立ち続けられるよう練習します。スキーはアンバランスの中でバランスを保つスポーツと言われます。バランスを崩そうとしてくる状況の中で、何事もなかったようにバランスを取り続けなければならないという訳ですが、まさにこういうことです。

 具体的には、エッジを立てるか、荷重することでターンしていきます(両方できればもっとよく曲がります)。エッジを立てるには膝・ブーツ・スキーいずれかを倒し込むイメージがあればよく、荷重は板を強く踏みつけることで行います。練習していくうちに両足を揃えた状態からでもターンに入ることができるはずです。

 そして!いよいよ外エッジ一本での片足ターンですが、これは難度が一気に上がります。ターンする際には外エッジを使う足だけで片足ターンを行うのです。つまり、右へ向かう右ターンであれば、右足の外エッジ(だけ!)を使います。

 初級者がターンで転ぶ大きな理由の一つが、ターンの内足に乗ってバランスを崩し転倒するというものなので、それに対する挑戦でもあります。

 ターン内足の外エッジのみで曲がるためには、上体を大きくターン外側に乗り出す必要があります。このバランスの取り方がポイントですが、やってみて転びながらうまくなるしかありません。

 「パラレルターンのコツ」みたいにネットで答え探しをして頭で理解するのは簡単ですが、実際にできるようになるには自分の足裏感覚を磨く必要があります。ここに関しては、地道な努力に勝るコツやひらめきなどありません。
 ここはひとつ覚悟を決めて、じっくり取り組みコツコツやってうまくなりましょう。

両足ターン

 ここまで練習したら、今まで滑っていたように両足でのパラレルターンを行ってみましょう。片足ずつで苦労したのがウソのようにスイスイ滑れるはずですし、今まで全く頼りにならず邪魔であったはずの内足が、力強くしっかりとターンの方向をリードしてくれることに気づくはずです。そして安定感がアップして、俄然転びにくくなっているでしょう。

まとめ

  • 中級手前の方がパラレルターンできない一番の理由は、ターンの内足が使えないためです
  • 内足を使えるようになるには、外エッジを鍛えましょう
  • パラレルターンの鍵を握るのは、内足の外エッジを使う「努力」で感覚を磨くことのみです。コツなんかありませんよ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る