スキーに限った話ではありませんが、身体運動で「ここでこうなるクセをやめたい」、「この動きをこう直したい」と考えることは誰でもあると思います。
しかし、なかなか思うように改善しないと悩んだことはありませんか?そんな悩みも、発想の転換で解決してしまうことがあります。ここでは、そんな思考の方法についてご紹介します。
動作修正の悩み
自分自身が取り組んでいるスポーツで、あるいは指導者として関わっているスポーツで、どうしても直したいクセや改善したい動きがあると思います。
例えばゴルフでスライスするクセを直したい、テニスでサーブが思うように入らないといったようなものです。
こうした動作を修正したい場合、どのように考えているでしょうか。「スイングの時に頭が動くのが良くないから、『頭を動かさない』ことを意識しよう」といった具合に考えていませんか?
修正意識のワナ
ところが、こうして意識してみても、動作が改善されないことは往々にしてあります。
一体何がいけないのでしょうか。
実は、動作を改善する際、悪い部分を直接的に「〇〇しよう」としても改善にはつながりにくいのです。考え方としては、悪い部分に関連する別な部分を見極めて、その動作を意識していくという方法をとります。
別な部分を意識する
野村克也氏の著書『敵は我に在り』の中で、動作を修正する場合に何を意識すべきか、別な部分に光をあてるというテーマで興味深いことが書かれています。
読売ジャイアンツの原監督が現役選手だった時代、打つときに右肩が下がるという欠点がありました。
野村氏が「何に気をつけて練習している?」と尋ねると、原選手は「肩を水平に回すことを意識しています」と答えたのだそうです。
すると野村氏は「右肩が下がっているから、右肩が下がらないように水平に回そうというのでは、簡単に矯正できない。技術的な欠点というものは、ほとんどの場合、別な部分を意識することで是正されることが多い」とアドバイスしました。
さらに野村氏は「右肩が落ちることで、左手の甲もボールに正対せず、やや上向きになっている。だから、左手の甲をボールにぶつけていく意識を持った方がよい」と話したのです。
意識をはずす
野村氏いわく、ある身体の部分の動きをああしよう、こうしようと意識をおいているうちは、うまくいっていないのだそうです。
意識するなといっても、意識がいってしまうということもあります。逆に、意識しないように意識を保てばうまくいくのかというと、染み付いたクセは簡単には直りません。
そこで、うまくいかない部分から意識をはずして、その部分と関わっている別な部分に意識をおくのです。そうすることによって、うまくいかない部分を直接的に意識することなく、かつ必要な動作を意識して行うことができるのです。
この、「意識をはずす」というメソッドは、うまくいかない部分に関わる別な部分をうまく切り出せれば、どんな競技にでも応用が可能です。うまく利用して、動作の改善に役立ててください。
まとめ
- 動作を改善したい場合に、うまくいっていない部分を直接意識しても改善につながりにくいです
- うまくいかない部分から意識をはずし、その部分と関わっている別な部分に意識をおくことで、スムーズな動作改善につなげることができます
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