【360・サブロク・スリーシックスティ】フリースキーのコツや練習法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 パークで飛べるようになり、グラブもこなせるようになってくれば、いよいよスピン系に挑戦したくなるのではないでしょうか。しかし、パーク初心者がいきなりチャレンジするには難易度が高いと思われます。ここでは、360度回転するスリーシックスティのコツや練習方法について、ノウハウをお伝えします。

360の醍醐味

 スキーで飛ぶことに興味があれば、スピン系は覚えたいトリックの最有力候補ではないでしょうか。中でも水平方向に360度回転するトリック・スリーシックスティは、誰しも一度は目標にするところだと思います。

 モーグルではヘリコプターと呼ばれ、長野オリンピックの金メダリストだったジョニー・モズリーのグラブヘリ(ミュートグラブ360)に当時憧れを抱いたスキーヤーは数知れません。

 テーブルやキッカーで大きく飛んでゆったり回る360はスタイリッシュでかっこいいですし、飛びながら見える景色も格別です。一度覚えればグラブなどのバリエーションも多彩で、回転数を増やす楽しみもあります。楽しく安全にマスターしていきましょう。

360について知っておきたいこと

 初めてチャレンジする方、あるいは何度かやってみたけどうまくいかない方には、覚えておいてほしいスピンの要素が二つあります。一つは回転力、もう一つは軸を安定させることです。

回転力について

 初めての方も360度回り切れないという方も、うまくいかない理由の第一は回転力が不足しているためです。

 スキーもブーツも履かずに陸上で360度回るのは簡単ですし、ブーツを履いても何とか回れると思います。回転を妨げるのはやはりスキー板であり、勢いよく回すことができないので、上体で捻れの力を作って下半身ひいてはスキーをついてこさせる必要があります。

 言い換えると、体軸でもってトルクを作り出すことから、以下の式に当てはめることができます。

トルクT=F(力)×L(長さ)

 つまり、同じ力でスキーが回ろうとすると、板の長さに応じてトルクも必要になるということです。スキーが短いほどスピンしやすいのはここからも分かりますね。

 では、どうやって捻る力・トルクを作るのか?その答えは後ほど説明します。

軸の安定について

 360が成功しないもう一つの理由は、軸が傾いてしまい安定しないことです。一回転させる回転力があっても、軸が曲がっていては着地がうまくいきませんし、ケガの元です。

 軸とは正にコマの中心をなす棒のことです。この棒が傾かないようにバランスを保って回転する必要があるのですが、タックして軸を短くするよりも、ストレートジャンプのように立った姿勢で軸を長くとった方が安定して回ることができます。短い軸は傾きやすいのです。

 フィギュアスケートのジャンプで片手を上げて回る選手がいますが、あれも軸を長くとることで回転軸を安定させる役目があるのです。

手を上げることで軸が長くなり、傾きにくくなります

360の練習方法

回転力をつける

 360度回るための回転力は、体軸を回転の軸として、主に腕で作ります。棒のように伸ばした腕を振るか、曲げた腕の肘を引くか等やり方はいくつかあると思われます。陸トレとしてお好みの方法を使い、腕の力で回る感覚をつかんでください。360度回る必要はありませんので、腕から発生した回転力で体軸が回ることを確認しましょう。

 また、体軸を意識して、軸が曲がったりせずに回っていることも確認してください。

スキーを履かずに回転

 回転力のつけ方を理解したら、今度は雪上で、スキーは履かずにブーツのみで回ってみます。足首が固定されて高く飛べませんが、スキーを履いていない分だけ小さい回転力でも回り切ることが可能です。飛び込みやすそうな斜面を利用して、飛び降りながら回る方法がおすすめです。

 ここでも、軸を意識したジャンプを織り交ぜましょう。

小さな台からチャレンジ

 軸の意識ができ、ブーツを履いて360度回れるようであれば、いよいよスキーを履いて挑戦してみましょう。小さな台から始めるべきなので、可能であれば自分で好みのサイズのジャンプ台を作りたいところですが、無理であればノール落ちしても痛くない程度まで速度を落としてテーブルで飛びましょう。

 腕を後ろに引く予備動作があってから腕を回して回転力を発生させる(カケと言います)ことになりますが、そのタイミングも大事です。スキーが台の先端に差し掛かり、ちょうど踏み切ったところでスキーに対する雪面の抵抗がなくなりますが、ここにカケのタイミングを合わせる必要があります。

 カケのタイミングが早いとスキーに雪面からの抵抗がかかっているため回りにくく、遅いと空中に飛び出してしまっているため上体に十分な力をためることができません。

 テーブルやキッカーであれば自分から踏み切らなくてもリップに到達したタイミングでカケれば良いのですが、モーグルのエア台では自分からしっかり踏み切らないと雪面の抵抗を受けやすく、ヒザの伸長とカケのタイミングを踏み切りに合わせなくてはならないため、難易度は上がります。

徐々に大きな台へ

 小さい台で確実に回れるようになったら、徐々に大きなテーブルやキッカーに挑戦しましょう。滞空時間がある分、周りの景色を見る余裕も出てきます。そうなれば、グラブを入れたりクロスなどのワンポジションなどバリエーションを増やすこともできます。

 そして次第に回転数を増やしたくなりますが、練習方法などについては以下の記事で解説しています。

どうしてもうまくいかない場合

 360の失敗理由としては、回り切れないことと軸が曲がって着地に失敗することが大半です。理由別に対策を見ていきます。

回り切れない

 予備動作もしっかりとって回転力も十分なのに、180どまりなんてことはありませんか?もっと滞空時間があれば解決するように思えて大きい台で飛んでもやはり結果は変わらなかったりします。

 その原因として、回転力不足や滞空時間の少なさではなく、自分から回転を止めてしまっている場合が挙げられます。

 180度まで回って台の方を見る(スポットと言います)とき、台で目線を止めたままにしていると回転が止まります。ここでさらに肩越しに後ろを振り向くように目線・首を動かせば回転の停止を防ぐことができます。

 回転力だけを気にするなら、スポットなしで首を先行させ続けて回る方がよいかもしれません。

軸がずれる

 軸は両腕のバランスで保つことができますが、他にも半回転したところで飛んできた方向をスポットしてバランスを確認することもできます。

 また、前に書いたように軸を長くとっても安定しやすくなります。あまりかっこよくありませんが慣れるまで、反時計回りであれば右腕を高らかに上げながら回るのも一つの方法です。

おわりに

 以上、スリーシックスティのコツなどについて書きましたが、身につけるための一番の方法は何より練習して慣れることだと思います。器用でなくとも、何度も何度も繰り返すうちに必ず覚えることができますので、途中であきらめずにチャレンジしてみてください。

練習すれば、いろいろできるようになりますよ!
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る