スキーで時折耳にする「外向傾」なる用語。外向傾がどんなものか知らずに整地どころかコブまでこなせる人も少なからずいますが、外向傾ができていなくてコブまで滑れる人はまずいないと思います。
ここでは、知っておくとスキー技術への理解が深まり、習得できる技術の幅も広がる外向傾について、どのようなものか解説します。
外向傾とは
ごく簡単にいうと、ターンのときの上体の傾きとねじれ具合を指します。外向と外傾を合わせた言葉で、上体が外向傾にある状態を外向傾姿勢と呼びます。
外向
ターン中に、上体がターンの外側を向いていることを指します。何もしなければ上体はスキーと同じ方向を向くわけですが、ここから上体を捻ってターン外側を向くことで外から引っ張られる力(=遠心力)に対抗しやすくなります。
また、捻った上体が元に戻ろうとする力を利用することで反対側のターンに移行しやすくなります。捻り戻しの利用はショートターンで特に有効なため、コブの滑りにはかかせないものです。
ちなみに、ターンで上体がねじれることなくスキーと同じ方向を向いて曲がるのをローテーションと言います。
外傾
ターン中の脚はエッジングのために傾いているわけですが、この下肢の傾きの代償として上体を反対方向に傾けるのが外傾です。下肢はターン内側に傾き、上体はターン外側に傾くため、くの字の姿勢になります。また、脚を傾けてもバランスがとれるため、エッジングを強めることができます。
ちなみに、下肢と同じ方向に上体が傾くことを内倒と言います。
外向傾がないとどうなるか
外向がない
外向がないということは上体がスキーと同じ方向を向き続けるローテーションの状態になりますが、捻じり戻しを使えないことでターンの切り替えがどうしても遅れてしまいます。整地大回りなら大きな問題になりませんが、小回り、さらにはコブの中では、切り替えの遅れは命取りになりかねません。
コブでは基本的に上体はフォールラインを向いたままにしますが、これは捻じり戻しを使うためなのです。
外傾がない
外傾がないということはターンで内倒するということですが、この上体の傾きでターンをリードしようとすると、大回りではできるものの、小回りについていくのは難しくなります。また、脚を大きく傾けることができないため、エッジングを強めることが難しくなります。
外向傾を作るには
外向を作るドリル
ショートターンのために必要な外向ですが、ストックを束ねて横にしたものを両手で持ち、ストックをフォールラインに向けた状態をキープしながら左右の横滑り、さらにはショートターンが効果的です。
外傾を作るドリル
外傾を作るためのドリルですが、直滑降で滑った状態からの急停止がオススメです。停止した直後に後ろへ倒れるようであれば内倒していますし、転ばないようであれば外傾ができていますので、さらにスピードが出た状態から試してみましょう。
まとめ
- 外向傾とは、外向と外傾の複合語
- 外向はターン中の上体のねじれ
- 外傾はターン中の上体の傾きで、くの字
- 外向傾はショートターン、特にコブでは必須
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