スキー初心者が急斜面に連れていかれても慌てずに滑る極意

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 ある程度滑れる友達や同僚と滑りに行く場合によくあるパターンですが、ゴンドラなどで一気に高いところに連れていかれ、転んでは板を履き、履いてはまた転んでを繰り返し、1時間以上かけて麓に着くころにはヘトヘトに疲れ果て、心も折れてしまい脱落というケース。急斜面で滑りたい人のおかげでとんだとばっちりというところですが、そんなときに初心者はどう滑ってしのぐべきかご紹介します。

見方を変える

 初心者からすれば、山頂に近い中級以上のコースは景色の美しさとは裏腹に、かなりの急斜面に見えて怖さを感じるはずです。ですが、真下に見れば20度以上ある斜面でも、コースの端の方が滑る方向だと思って見れば、10度でも5度でも好きなだけ角度を下げることができます。

真下ではなく横を向けば、斜面は緩く見えます。

実際に滑るには

 あとはお好みの傾斜を選んで滑るだけです。要は斜滑降ということですが、コースの端から端まで目いっぱい広く使って滑ります。そのうちコース端まできますので、今度は向きを変えてあげる必要があります。方法は3つあります。

キックターン

 まず斜面下側のスキーを突き立ててから反対方向へ倒します。急斜面が左手に広がっているとすれば左足のスキーで操作することになります。これでスキー板の向きが左右で180度逆になります。

 続いて斜面上側のスキーを持ち上げて反対を向かせます。右足を持ち上げて回し、先ほど滑ってきた方向を向くことになります。

 これがキックターンというものですが、急斜面ではうまく足をコントロールできない場合が多く、いきなりのチャレンジだと転ぶ確率は高いでしょう。初心者はあらかじめ練習しておくことをおすすめしたいところです。

プルークボーゲン

 プルークで曲がれたら苦労はない、それができないから大変な思いをしてるんじゃないかと言われてしまいそうですが、考えてみてください。確かに急斜面でプルークボーゲンは難しいのですが、上述のように斜度が緩くなるように調整して、止まりそうな速度から向きを変えるだけならどうでしょうか。

 急斜面ではスピードと恐怖心で体が遅れてしまうせいで、ターン外足に十分な加重ができず曲がれなくなってしまいがちなのですが、斜滑降でゆっくりとコース端に近づければ話は変わります。スピードが遅いおかげでターン外足にグッと体重を乗せることができるので、必要以上に怖がることなく、コツをつかめば思いのほか簡単にターンできるはずです。

 そのコツですが、体重を乗せる際に「前転しても構わない」とばかりに上体を斜面の下へ投げ出した状態で加重することです。上体(重心)がスキーに遅れなければ、ターンはしやすくなり転倒の可能性も下がるのです。

 これができれば、どんなコースでもノンストップで延々滑ることができます。是非ここを目指してください。

お尻をついてターン

 キックターンは覚えられず、プルークボーゲンも怖くてできない、という方はこちらの最終手段。コース端までゆっくり滑り切って停止、止まれないときは斜面を登るように向きを変えて停止します。

 それから、その場に腰を下ろすか寝そべります。そうすれば両足はフリーにできるので、両足を同時に上げて一緒に反対方向へ向きを変えます。このとき、スキー板がちゃんと揃っているか、斜面に対して直角になっているか確認が必要です。

 その後、立ち上がって再び反対方向へ滑りだしますが、注意点は、立ち上がるときにはお尻をスキーブーツに引き寄せるイメージを持つことです。重心(≒お尻)がブーツからずれていると、ストックを突いても立つのは難しく、スキーの方をお尻に寄せるのは困難だからです。

 さて、いずれかの方法で向きを変えたら、同じようにコース反対の端まで滑り、再度向きを変えることを繰り返します。

おわりに

 斜度が緩くなるように選んで滑ると、高低差がかせげないのでなかなか降りていけず、時間がかかるように感じるかもしれません。

 ですが、転んでは板を履き直してを繰り返すよりよほどスムーズで早く、しかも疲れにくいはずです。

 また、安定して長く滑れることはその分上達にもつながるのです。さあ、急斜面でも楽しく滑って、どんどんうまくなれるよう備えておきましょう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る