PCやスマホに向かって情報収集している時は、板や体の動きのイメージを色々作ることができますが、実際滑っている最中に何か所もイメージした通り体を動かす意識を持つのは難しいことです。コブの中ともなればなおさらです。
ここでは、スキーで特に大切にしたい意識である「バランス」、特に重心と足との位置関係について解説します。
バランスの重要性
スキーとは、常に移動するスキーの上でバランスをとり続けるスポーツです。つまりアンバランスの中でバランスを保つのが目的というわけです。だからバランスが大事だ、なんてことはスキーで滑ったことのある方なら言うまでもない話です。
バランスには前後のバランスと左右のバランスがありますが、基本的にコブの滑りでは左右に大きく重心移動することはないので、ここではコブでの滑走に大きく影響する、前後バランスに絞ってお話したいと思います。
何をバランスさせるか
バランスというからには2つのものを釣り合わせることになりますが、ここで提唱するのは重心と足の位置関係です。
重心のイメージ
重心はどこにどんな形であるか?と聞かれても、目に見えないものなのでイメージで捉えてもらうしかありませんが、脚の付け根である股関節部分に、重い球が入っていると考えてください。
足のイメージ
足はもちろんブーツを履いている足ですが、ピンポイントで意識するなら拇指球ではなくカカトです。これはカカトが、重心部分である股関節から続く脚の骨に直接つながっていることで、荷重をダイレクトに伝えやすいからです。
重心と足の位置関係
股関節にある重心が足の真上に乗ったままだと、スキーは直進していきます。ここでの真上とは鉛直方向ではなく、斜面に対する垂直を指します。
ターンに入るには、この重心と足とのバランスを崩してやる必要があります。具体的には重心を足よりも前方に動かしますが、足から斜面垂直方向に伸ばした線よりも重心が前に出るということです。
実際には左右どちらかに荷重するためターン内側の斜め前方ということになりますが、前後関係では前ということです。
ターンのきっかけはストックで作ると思いますが、これもストックを突くと同時に重心の位置を前方に動かしていると言えます。
ターンでのバランス
ターンを切換え後から前半・中盤・後半に分けて考えます。
ターン前半は切り替え後の始動のため、重心は足より前に出ます。これがターン中盤にかけて足の位置が重心に追いつき、ターン後半では足の位置が重心より前(つまり重心が足よりも後ろ)に出ます。そして再び重心を前方に出してやることで、次のターンを始めることができるのです。
ターンの各局面で、重心と足が抜きつ抜かれつするイメージというわけです。
コブでの意識
前後バランスについて理解したところで、実際コブではどういう意識でいればよいのでしょうか。コブでの意識・動作はシンプルさが求められますが、重心が足に遅れたままにならないようにすべきです。
コブのふくらみを捉える局面では、ターン後半のため重心は足より遅れています。このままの姿勢では後傾となるため、次のターンに入るには重心を前に持ってこなければなりません。
ここで重心を一気に前に持ってこれるのが「先落とし」というわけです。解説は以下で詳しくしています。
意識は重心が遅れないように、動作は先落としを行う、というわけです。
以上、重心と足とのバランスの重要性についてお話しました。実際コブで意識することは人それぞれですが、前後のバランスは非常に大切ということは分かっていただけたかと思います。コブでの滑りに悩む方の手助けになれば幸いです。
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